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  • 2025.8.2

インプラント治療ができないケースとは?那覇市の歯科医院が詳しく解説

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インプラント治療は、失った歯を人工歯根で補う優れた治療法として広く認知されていますが、すべての患者様に適用できるわけではありません。口腔内の状態や全身の健康状態によって、インプラント治療が困難または不可能な場合があります。

沖縄県那覇市のナハデンタルでは、患者様一人ひとりの状態を詳細に検査し、インプラント治療の適応を慎重に判断しております。本記事では、インプラント治療ができないケースについて、専門的な観点から詳しく解説いたします。

インプラント治療の基本的な仕組みと適応条件

インプラント治療とは、チタン製の人工歯根(インプラント体)を顎骨に埋入し、その上に人工歯冠を装着する治療法です。この治療が成功するためには、インプラント体と顎骨が結合する「オッセオインテグレーション」という現象が重要な役割を果たします。

オッセオインテグレーションとは、チタンと骨組織が直接結合することで、この現象により人工歯根が天然歯根と同様の機能を発揮できるようになります。しかし、この結合プロセスが正常に進行するためには、適切な口腔環境と全身状態が必要不可欠です。

骨の状態によりインプラントができないケース

顎骨の状態は、インプラント治療の成否を左右する最も重要な要素の一つです。骨量や骨質が不十分な場合、インプラント体の安定した埋入や長期的な維持が困難となります。

骨量不足による制限

上顎や下顎の骨量が不足している場合、インプラント体を適切な位置と角度で埋入することができません。特に上顎では上顎洞(じょうがくどう)という空洞があり、この部分の骨が薄い場合にはインプラント治療が制限されます。上顎洞とは、頬骨の奥にある鼻腔につながる空洞で、この空洞に近い部分では十分な骨の厚みが必要です。

下顎においても、下歯槽神経(かしそうしんけい)という重要な神経が通る管があり、この神経を損傷するリスクがある場合にはインプラント治療は適応外となります。下歯槽神経は下唇の感覚を司る神経であり、損傷すると麻痺などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

骨質の問題

骨量が十分であっても、骨質が軟らかすぎる場合や、逆に硬すぎる場合にはインプラント治療が困難となることがあります。軟らかい骨質では初期固定が得られにくく、硬すぎる骨質では血流が悪くオッセオインテグレーションが阻害される可能性があります。

全身疾患によりインプラントができないケース

インプラント治療は外科手術を伴うため、全身の健康状態が治療の適応に大きく影響します。特定の全身疾患を患っている患者様では、手術リスクが高くなったり、治癒過程に問題が生じたりする可能性があります。

糖尿病と血糖コントロール

糖尿病は、インプラント治療において最も注意が必要な全身疾患の一つです。血糖値が適切にコントロールされていない糖尿病患者様では、創傷治癒の遅延や感染リスクの増加、オッセオインテグレーションの阻害などが起こりやすくなります。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)という血糖コントロールの指標が7.0%以上の場合、インプラント治療のリスクが高くなるとされています。ただし、血糖値が安定してコントロールされている糖尿病患者様では、慎重な管理のもとでインプラント治療を行うことが可能な場合もあります。

心疾患と血液疾患

重篤な心疾患を患っている患者様や、血液凝固異常のある患者様では、手術中や術後の合併症リスクが高くなります。特に抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している患者様では、出血のリスクを十分に評価する必要があります。当院ではこのような患者様のインプラント治療実績が多数ございますのでご安心ください。

骨粗鬆症とビスフォスフォネート系薬剤

骨粗鬆症の治療薬として使用されるビスフォスフォネート系薬剤を長期間服用している患者様では、顎骨壊死(がっこつえし)という合併症のリスクがあります、インプラント治療の場合、配慮が必要です。顎骨壊死とは、顎の骨が壊死する疾患です。

年齢的な制限によるインプラント治療の適応外

インプラント治療には年齢的な制限があり、特に若年者と高齢者においてそれぞれ異なる制約があります。適切な年齢での治療開始が、長期的な成功に重要な要素となります。

若年者における制限

18歳未満の若年者では、顎骨の成長が完了していないため、インプラント治療は適応外となります。成長期にインプラントを埋入すると、周囲の骨や歯の成長に伴い、インプラントの位置が相対的に変化してしまう可能性があります。

一般的に、女性では18歳頃、男性では20歳頃に顎骨の成長が完了するとされていますが、個人差があるため、セファロ分析(頭部X線規格写真による成長の評価)などを用いて成長の完了を確認する必要があります。

高齢者における考慮事項

高齢者においては、年齢そのものがインプラント治療の絶対的な禁忌となることはありませんが、全身状態や認知機能、口腔衛生管理能力などを総合的に評価する必要があります。特に認知症が進行している患者様では、術後の口腔ケアが困難となるため、インプラント治療は慎重に検討する必要があります。

口腔内の状態によるインプラント治療の制限

口腔内の環境は、インプラント治療の成功に直接的な影響を与えます。歯周病や咬み合わせの問題、口腔衛生状態などが不良な場合、インプラント治療は適応外となることがあります。

歯周病の影響

活動性の歯周病がある場合、インプラント治療は適応外となります。歯周病菌は、インプラント周囲炎という歯周病に類似した疾患を引き起こす可能性があり、インプラントの長期的な維持に悪影響を与えます。

歯周病の治療とは、歯と歯肉の間に蓄積した歯垢(プラーク)や歯石を除去し、炎症を抑制する治療のことです。インプラント治療を行う前には、必ず歯周病の治療を完了し、口腔内の炎症を除去する必要があります。

咬合異常と歯ぎしり

強い歯ぎしりや食いしばりの習癖がある患者様では、インプラントに過度な負荷がかかり、インプラント体の破折やねじの緩み、周囲骨の吸収などが起こりやすくなります。このような場合、ナイトガード(就寝時に装着するマウスピース)の使用や、咬合調整が必要となります。

生活習慣によるインプラント治療への影響

患者様の日常的な生活習慣は、インプラント治療の成功率に大きな影響を与えます。特に喫煙や飲酒、口腔衛生習慣などは、治療結果を左右する重要な要因となります。

喫煙の影響

喫煙は、インプラント治療における最も重要なリスクファクターの一つです。タバコに含まれるニコチンは血管収縮作用があり、創傷治癒を阻害します。また、一酸化炭素は組織への酸素供給を妨げ、オッセオインテグレーションの成功率を低下させます。

喫煙者のインプラント成功率は、非喫煙者と比較して約10-15%低下するという報告があります。そのため、インプラント治療を希望される患者様には、治療前後での禁煙を推奨しております。

アルコール依存症

過度のアルコール摂取は、免疫機能の低下や栄養状態の悪化を招き、創傷治癒に悪影響を与えます。アルコール依存症の患者様では、インプラント治療のリスクが高くなるため、適応を慎重に検討する必要があります。

インプラント治療の代替治療法

インプラント治療が適応外となった場合でも、失った歯を補う方法は複数存在します。患者様の口腔内状況や全身状態、希望に応じて最適な治療法を選択することが重要です。

ブリッジ治療

ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削って土台とし、連結した人工歯を装着する治療法です。隣接する歯が健全な場合に適用され、固定式のため装着感が良好です。ただし、健康な歯を削る必要があるというデメリットがあります。

部分入れ歯・総入れ歯

部分入れ歯や総入れ歯は、取り外し可能な補綴装置です。外科手術が不要で、比較的短期間で治療が完了します。近年では、材料や技術の進歩により、審美性や機能性が向上した入れ歯も開発されています。

▼入れ歯治療の特徴 ・外科手術が不要 ・治療期間が短い ・費用が比較的安価 ・調整や修理が容易

骨造成術によるインプラント治療の可能性

骨量不足によりインプラント治療ができない場合でも、骨造成術を併用することで治療が可能になるケースがあります。骨造成術とは、不足している骨を人工的に再生させる治療法です。

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)

上顎の奥歯部分で骨の高さが不足している場合に行われる骨造成術です。上顎洞の底部を持ち上げ、その下に骨補填材を填入することで、インプラント埋入に必要な骨の高さを確保します。この手術により、従来はインプラント治療が困難とされていた症例でも治療が可能となる場合があります。

GBR法(骨再生誘導法)

GBR法とは、Guided Bone Regenerationの略で、特殊な膜を使用して骨の再生を促進する治療法です。骨の幅や高さが不足している部位に骨補填材を填入し、その上を膜で覆うことで、骨の再生を誘導します。

ナハデンタルでのインプラント治療前検査

当院では、インプラント治療の適応を正確に判断するため、詳細な検査を実施しております。患者様の安全を最優先に考え、慎重な診断のもとで治療計画を立案いたします。

CT検査による詳細な診断

歯科用CT(Computed Tomography)検査により、顎骨の三次元的な形態や密度、重要な解剖学的構造物の位置を正確に把握します。この検査により、従来のレントゲン写真では確認できない詳細な情報を得ることができ、より安全で確実なインプラント治療が可能となります。

全身状態の評価

患者様の既往歴や現在服用中の薬剤、血液検査結果などを詳細に確認し、インプラント治療のリスクを総合的に評価いたします。必要に応じて、かかりつけ医との連携を図り、全身管理を行いながら治療を進めます。

まとめ

インプラント治療は優れた治療法ですが、すべての患者様に適用できるわけではありません。骨の状態、全身疾患、年齢、口腔内環境、生活習慣など、様々な要因がインプラント治療の適応に影響します。

沖縄県那覇市のナハデンタルでは、患者様一人ひとりの状態を詳細に検査し、安全で確実なインプラント治療を提供しております。インプラント治療をご検討の際は、まずは詳細な検査とカウンセリングをお受けいただき、最適な治療法を一緒に検討させていただきます。

インプラント治療に関するご質問やご相談は、いつでもお気軽にナハデンタルまでお問い合わせください。専門的な知識と豊富な経験を持つスタッフが、患者様のお悩みに真摯にお答えいたします。

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