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  • 2025.2.13

インプラント周囲炎とは?原因・症状・予防法を徹底解説

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1.導入(イントロダクション)

インプラント周囲炎とはインプラント周囲にある骨が炎症により溶けてしまい ,そのインプラントがグラグラしてきて最終的には使えなくなってしまう病気です。

インプラント治療を受けた人が最も注意すべき疾患です。歯周病と同様に口腔内の細菌が原因であり、インプラントの歯周病とも言われています。初期の状態では粘膜に炎症が限局され、インプラント周囲粘膜炎と分類されます。この粘膜炎が進行するとインプラント周囲炎になります。インプラント周囲炎になると治療することは困難になります。したがって、予防が最も重要です。
インプラント周囲炎を放置すると最終的にはインプラントを支えている骨が無くなってしまい、脱落してしまいます。インプラントはチタン合金でできていますので虫歯になることは絶対にありませんが、インプラント周囲炎になる可能性があります。長くインプラントを使っていくには防がないといけない病気です。

そこで本記事では、インプラント周囲炎の原因・症状・治療法・予防策を詳しく解説させていただきます。

2.インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎はインプラントの歯周病と言って差し支えありません。

原因となる細菌の種類や病気が進行するメカニズムもほとんど同じです。自然歯では歯に付着したプラークと呼ばれる細菌の塊から毒素が産出され、これが原因となり歯茎や骨に炎症が起きます。

そして歯を支える組織が無くなり、歯がグラグラするようになり抜け落ちてしまいます。インプラント周囲炎においても同様に、インプラントの上に装着した歯の衛生環境が保たれていない場合、プラークが蓄積するようになり、インプラント周辺の歯茎や骨に炎症が起きます。炎症が重度になると骨が大きく吸収し始め、進行するとインプラントが支えられなくなり脱落のリスクとなります。

3.インプラント周囲炎の原因

3-1. プラーク(歯垢)の蓄積
口腔内の清掃が不十分だと細菌が増殖してしまいます。そして細菌から毒素が産出されるようになり、これが原因となり歯茎や骨に炎症が起きます。

3-2. 適切でないインプラントの装着
インプラントの埋入角度や位置が適切でないと清掃しにくくなり炎症リスクが高まります。特にインプラント周辺にはインプラントを守るために自然歯よりも厚くて丈夫な歯茎が必要です。したがってインプラントをどのくらいの深さに埋入するのかが特に重要です。

3-3. 歯ぎしり・食いしばり
強い噛み合わせの力がインプラントや周囲の組織に負担をかける可能があります。また強い力がかかることでインプラントとインプラントの上に装着する歯との接続部分にズレが生じて、そこから細菌が排出される可能性があります。

3-4. 喫煙・糖尿病などの生活習慣
生活習慣に問題がある場合、免疫力の低下により感染しやすくなります。特に喫煙はインプラント周辺の歯茎の血流を悪くするため、良くないと言われています。また、糖尿病が安定していない場合、免疫系細胞の動きが悪くなるために感染のリスクが上昇してしまいます。

4.インプラント周囲炎の症状

4-1. 初期症状(インプラント周囲粘膜炎)
インプラント周囲炎の初期症状として下記のような症状が見受けられます。
• 歯茎の赤みや腫れ
• 出血しやすい

初期の状態をインプラント周囲粘膜炎と言いますが、この段階ではまだ骨の吸収を認めず、治療により元に戻すことができます。ですので、歯茎の赤みや腫れ、出血しやすいなどの症状が現れたらなるべく早く対応することが大切です。

4-2. 進行症状(インプラント周囲炎)
インプラント周囲粘膜炎からさらに病気が進行するとインプラント周囲炎となり下記のような症状が出現し始めます。
• 膿が出る
• 歯茎が下がり、インプラントが露出する
• 噛んだときの違和感や痛み
• 進行するとインプラントの脱落

このような症状が現れ始めたらかなり進行している可能性が高いです。すぐに診察してもらいましょう。この記事の冒頭で、インプラント周囲炎になると治療することは困難と述べましたが、完全に元通りにすることは困難ですが、適切な治療でインプラントが使える状態で維持できる可能性があります。

5.インプラント周囲炎の治療法

インプラント周囲炎の治療ではインプラントに付着した細菌の塊を徹底的に除去することが大切です。
5-1. 歯科医院での専門的クリーニング
超音波スケーラーや特殊な器具で歯石・プラークを除去します。インプラント周囲炎になってしまったインプラントにはプラークと言われる細菌の塊が付着していますので、これを超音波スケーラーや特殊な器具で除去します。プラークはバイオフィルムと言って、かなり強固な状態で付着していますので、通常のブラッシングで落とすことはできません。

5-2. 抗菌治療(薬剤の使用)
抗生物質や消毒薬で細菌を減らすことも大切です。超音波スケーラーや特殊な器具で機械的にプラークを除去することに加えて、抗生物質や消毒薬などの薬剤を用いて、残った細菌を徹底的に除菌します。

5-3. 外科的治療(重度の場合)
重度に進行したインプラント周囲炎の場合、炎症部分の切除や骨再生療法を行うことがあります。炎症が強い場合、肉芽組織と呼ばれる感染組織が増えますので、それを切除して取り除きます。そして、骨の吸収が大きい場合、欠損部分に人工骨の粒子を入れて骨再生を促します。場合によっては上記のような処置をするよりも, ダメになってしまったインプラントを撤去して再度入れるという方法を選択する場合があります。

6.インプラント周囲炎の予防法

インプラント周囲炎は治療よりも予防が大切です。

なってしまう前に防いでいきましょう。適切な治療が大前提ですが、日々の適切なセルフケアとメインテナンスをしっかり受けていればインプラント周囲炎になることはほとんどありません。

6-1. 正しいブラッシングとデンタルケア
インプラントは通常の歯ブラシでブラッシングすることで十分にセルフケアが可能です。しかし、範囲の大きい治療や複雑な設計にならざるを得ない場合、インプラント専用の歯ブラシや歯間ブラシ、フロスの活用が必要になる場合があります。インプラントに歯を装着するときに歯科医院から説明がありますので何か不明点があれば質問してみましょう。

6-2. 定期的な歯科検診とメンテナンス
日常的なセルフケアのみでは落としきれない汚れがありますので3〜6ヶ月ごとに歯科医院でクリーニングを受けましょう。そのときにインプラント周囲炎になっていないのかチェックすることで早期発見・早期治療が可能となります。

6-3. 生活習慣の改善(禁煙・食生活の見直し)
日々健康に気を使い免疫力を高めることもインプラント周囲炎の予防に大切です。免疫力が高いと炎症を防ぐことができます。喫煙している方はなるべく禁煙外来を受診しタバコは辞めた方が良いでしょう。タバコはインプラント以外にも全身に悪い影響があります。それでもどうしても吸いたい方は、定期検診の頻度を高めることをおすすめします。

7.まとめ

インプラント周囲炎は早期発見・予防が重要です。

一方で、インプラント周囲炎は歯周病と同じように痛みが無く経過することが多いので自分ではなかなか気づくことができません。適切なセルフケアが大切なのは言うまでもありませんが、定期検診でチェックしてもらうことで、健康なインプラントを維持していきましょう。違和感があればすぐに歯科医院を受診することが大切です。適切な治療とメインテナンスがあればインプラント周囲炎になることはほとんどありませんので, 実績がある歯科医院でインプラント治療を受けましょう。

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