- インプラント
- 2025.3.28
インプラント治療のやり直しはできる?原因・再治療の流れ・成功率を解説します

はじめに
インプラント治療は近年、とても人気がある治療ですが、インプラント治療に対して不安を持っている患者様も多いようです。一度入れたインプラントはもうやり直しができないのではないか?と質問されることがこれまで何度もありました。インプラントを一度骨に入れると数ヶ月後には強固に骨と結合しますので、一見、やり直しはできないように見えます。
しかし、結論から申し上げると、経験豊富な歯科医師限定ではありますが、トラブルが発生した場合には、何回でもインプラント治療のやり直しは可能なのです。そして、その難易度はやり直しの原因によって異なります。本記事では、インプラントのやり直しが必要なケースや再治療の流れを解説させていただき、患者様の不安を少しでも軽減したいと思います。
インプラントのやり直しが必要になる主な原因
インプラントの感染(インプラント周囲炎)
インプラント周囲炎とは、インプラントを支える歯茎や顎の骨に炎症が起こる疾患です。天然歯における歯周病と似た病態ですが、インプラントは生体組織と異なり、自然な免疫機能を持たないため、一度炎症が進行すると治療が難しくなる特徴があります。この場合、インプラントを撤去して再度インプラントを入れることで対応可能です。
インプラントと骨が結合しなかった(オッセオインテグレーション失敗)
インプラントはチタン合金で作られた人工歯根で形状は普通のネジのようですが, 骨に埋入して数ヶ月すると骨を作る細胞が集まってきて骨形成が行われます。これがオッセオインテグレーションという現象で生物学的にインプラントと骨が結合することで強固に固定され , インプラントの上にセラミックスでできた人工の歯を装着することができ治療後には天然の歯と同じようにしっかりと噛むことができるようになります。
しかし、オッセオインテグレーションが失敗することがあります。それは、インプラントの固定が弱く動揺が起こった場合です。不安定な状態ではオッセオインテグレーションが起こりません。この場合、インプラントを撤去して再度インプラントを入れることで対応可能です。
噛み合わせの問題(人工歯の不具合)
強い噛み合わせでインプラントが揺れる・破損する場合があります。特に、先にも述べましたが、オッセオインテグレーションが起こる前に噛み合わせに不具合があると不安定な状態となりオッセオインテグレーションが失敗してしまいます。この場合、インプラントを撤去して再度インプラントを入れることで対応可能です。さらに、噛み合わせの問題があるとインプラントに装着したセラミックの人工歯が破損してしまう可能性があります。ほとんどの場合、人工歯のみをやり直すことで対応が可能です。
インプラントの破損や脱落
インプラントはチタン合金でできていてかなり強固です。しかし、許容できない無理な力がかかれば破損することがあります。この場合、インプラントを撤去して再度インプラントを入れることで対応可能です。
手術後の骨吸収
かなり稀ではありますが、体質的に骨が吸収しやすい患者様の場合、骨が痩せてインプラントがぐらつく場合があります。この場合、インプラントを撤去して再度インプラントを入れることで対応可能です。
インプラントのやり直し治療の流れ
① 診察・原因の特定(CT・レントゲン検査)
② インプラントの撤去(必要な場合)
感染や骨吸収がある場合は、一度取り除く
③ 骨の再生治療(GBRや骨移植)
骨が足りない場合は再治療の前に骨を作る
④ 再インプラント手術(通常のインプラント治療と同じ流れ)
⑤ 人工歯の装着と調整
インプラントのやり直し成功率は?
通常のインプラント成功率は 90~95%と言われていますが、やり直しの成功率は約80~90%(骨の状態による)であると言われています。少し成功率が落ちますがそれでも高い成功率です。成功率を高めるたけに重要なのは再治療前の準備、すなわち、骨再生や噛み合わせ調整です。
インプラントのやり直し費用は?
通常のインプラントより高額になる可能性があります(骨移植などが追加されるため)。しかし、当院では早期の失敗について保証を設けているため費用はかかりません。
再治療の費用目安
インプラント撤去費用:5万~10万円
骨再生治療:10万~30万円
再インプラント:30万~50万円
インプラントのやり直しを防ぐために
• 適切なメンテナンス(定期検診・クリーニング)
• 正しいブラッシングとケア方法を実践する
• 噛み合わせの調整を定期的にチェック
• 信頼できる歯科医で治療を受ける
まとめ
インプラントのやり直しは可能ですが、原因をしっかり見極めることが重要です。ほとんどの場合、やり直しは可能です。しかし全ての歯科医院で行っている訳ではありません。経験や症例数が少ない歯科医院では他院で行われたインプラントに関与しないというところがほとんどのようです。
経験がある歯科医師であればインプラント治療のやり直しは可能で、原因に応じた再治療を適切に選択しますので、骨の状態や再治療のタイミングが良ければその成功率は高いです。
しかし、最初にインプラントを入れた時に比べて、やり直しは状況が複雑であることがほとんどです。ですので、適切なメンテナンスを行い、やり直しを防ぐことが最善策だといえるでしょう。