- インプラント
- 2025.11.20
■喫煙がインプラント治療に及ぼす影響とは?注意点とは
皆さん、こんにちは。沖縄県那覇市のナハデンタルです。インプラント治療は、失った歯を補うために非常に有効な方法ですが、成功率を大きく左右する生活習慣のひとつに「喫煙」があります。タバコに含まれる有害物質は、血流や骨の治癒に悪影響を及ぼし、インプラントの定着や長期的な維持に大きなリスクをもたらすことがわかっています。インプラントを検討されている患者様の中には、禁煙や減煙に悩まれている方も少なくありません。本コラムでは、喫煙がインプラント治療に及ぼす影響と、喫煙習慣がある方に知っていただきたい注意点をわかりやすく解説します。
▼喫煙はインプラント治療にどんな影響を及ぼす?
1. 血流の低下による治癒不良
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯茎や骨への血流を悪化させます。血流が不十分になると、外科手術後の傷の治りが遅れ、インプラントと骨がしっかり結合する「オッセオインテグレーション」が妨げられる可能性があります。その結果、インプラントが骨に安定しにくくなり、治療の成功率が低下してしまいます。
2. インプラント周囲炎のリスク増加
喫煙は免疫力を低下させ、細菌感染に対する抵抗力を弱めます。インプラント治療後にもっとも注意が必要なのが「インプラント周囲炎」です。これは歯周病に似た病気で、インプラントの周囲に炎症が起こり、骨が徐々に吸収されていく状態です。特に喫煙者は非喫煙者に比べて発症リスクが数倍高く、治療を行っても改善しにくい傾向があります。
3. 骨の再生が妨げられる
インプラント手術の際、骨量が不足している場合には骨造成術(GBRやサイナスリフトなど)を併用することがあります。しかし喫煙習慣があると、骨の再生能力が低下し、移植骨の生着が不良になることがあります。そのため、骨の量が十分に確保できず、インプラントの安定性に悪影響を及ぼします。
4. 手術後の合併症リスク
喫煙は傷口の治癒を遅らせるだけでなく、感染症や出血、腫れといった術後の合併症を引き起こすリスクも高めます。さらに、喫煙により口腔内の酸素濃度が低下し、細菌が繁殖しやすい環境を作ることも知られています。これらの要因が重なることで、治療全体の成功率が下がってしまうのです。
▼喫煙習慣がある方の注意点
1. 原則として禁煙が望ましい
インプラント治療を検討されている患者様には、まず禁煙を強く推奨しています。特に、手術の前後2週間から数か月間は血流改善や治癒促進のために禁煙することが大切です。禁煙により、インプラントの定着率は改善されることが報告されています。
2. 禁煙が難しい場合は減煙から
「急に完全禁煙は難しい」という患者様もいらっしゃいます。その場合は、まず本数を減らす「減煙」から始めることも有効です。喫煙量が減るだけでも血流の改善や治癒への負担軽減につながります。また、手術直前から数週間でも禁煙できれば、術後の経過に良い影響を与えることが期待できます。
3. 電子タバコ・加熱式タバコへの移行について
近年は電子タバコや加熱式タバコを利用する方も増えています。これらは紙巻タバコと比較するとタールなどの有害物質が少ないとされていますが、ニコチンは依然として含まれており、血管収縮や治癒不良のリスクは残ります。したがって「完全に安全」というわけではありません。ただし紙巻タバコよりもリスクは低下するため、禁煙が難しい場合の代替手段として検討する価値はあります。
4. 医科でのサポートを活用
禁煙や減煙は個人の努力だけでは継続が難しい場合があります。その際は、医科での禁煙外来を活用することをおすすめします。ニコチンパッチや内服薬などを併用することで、禁煙の成功率を高めることが可能です。当院でも、インプラント治療を検討される患者様に対して、禁煙支援を行う体制を整えています。
▼まとめ
喫煙はインプラント治療の成功率を大きく左右する重要な因子です。血流障害や治癒不良、インプラント周囲炎のリスク増加など、さまざまな悪影響が知られています。患者様にとっては、禁煙または減煙に取り組むことがインプラントを長持ちさせる最善の方法です。電子タバコや加熱式タバコも完全な安全策ではないため、できる限り禁煙を目指すことが望まれます。インプラント治療を検討中の方は、喫煙習慣についてもぜひ一度ご相談ください。