親知らずが気になる(腫れて痛む)
親知らずによるトラブルで歯科医院を受診する患者様が数多くいらっしゃいます。
現代人の場合、親知らずがしっかりと生えていることは少なく、ほとんどが斜めに生えていたり、歯肉や骨の中に埋まっていたりすることが多いです。
そのため歯ブラシがしにくく、汚れが溜まりやすくなります。
右上と下の左右、一番奥にあるのが親知らずです。智歯とも言います。前から数えて8番目の歯で、18〜20歳頃の知恵がついた頃に生えてくることから英語ではwisdom tooth と言います。
普段は自己免疫力のために問題が生じることは少ないですが、受験や仕事で忙しかったり、生活が不規則になったりすると免疫力が低下し、細菌感染を引き起こすことがあります。
細菌感染によって親知らずの周りの歯茎に痛みが出たり、腫れてきたりします。この状態を智歯周囲炎と言います。人生の大事な局面で智歯周囲炎による強い痛みに悩まされる事例を数多く拝見してきました。
困ったことに、痛いからといってすぐに抜歯できないことが多々あります。痛みや腫れが強い場合、当該箇所では炎症のためにpHが酸性に傾きますので局所麻酔薬が有効な成分になりません。ですので、まず、ペニシリンなどの化膿止め(抗菌薬)で炎症を抑えてからの抜歯になります。抗菌薬によって炎症が治るまではロキソニンなどの鎮痛薬で痛みを和らげます。
後々痛みそうな親知らずは早めに抜歯をした方が良さそうです。
親知らずは抜かなくても良いという説がありますが、日々、患者様の状況を拝見させていただいている実感としては、なるべく早く抜いた方が良いと思います。
というのも、先ほど述べたような痛みや腫れの原因になるばかりではなく、隣にある7番目の奥歯が歯周病や虫歯になることがあるからです。
この部分に問題が生じると多くの場合、治療器具がアプローチできませんので、治療が困難なことが多いです。取り返しのつかない状態になりがちです。
親知らずのせいで、7番目の歯を抜歯することになってしまった という事例も数多くありますので、やはり親知らずは早めに抜歯をした方が良さそうです。
顎を動かす筋肉(咀嚼筋)に炎症が波及することで開口障害を生じます。
鑑別疾患:破傷風
開口障害は破傷風の初期症状でもあります。破傷風は生命に関わる重大な感染症ですので注意が必要です。
智歯周囲炎では顎下リンパ節の腫脹と圧痛を認めます。
炎症がおこりますので発熱することがあります。
破傷風などの生命に関わる病気のこともありますから、自己判断は安易に行わず、医療機関の受診をお勧めします。
歯科医院によっては親知らずの抜歯を行なっていないというところが多くあります。ナハデンタルでは日々、インプラントなどの外科処置を行い、口腔外科も標榜していますのでほとんどのケースは当院で抜歯が可能です。月間20〜30症例の智歯抜歯を行なっています。
ナハデンタル 親知らずの抜歯実績5ヵ年
2024年289件
2023年266件
2022年230件
2021年213件
2020年166件
大きい病院や大学病院の口腔外科では何回も検査が必要であったり、混雑のために待ち時間が1〜2時間以上ということがザラにあります。
当院では上記のようなことはありませんので通院しやすいと思います。
設備については大学病院クラスのものを設置していますので正確な診断が行えます。
しっかりと生えている親知らずですが、ブラッシングが難しく、管理しやすい口腔内を構築するために、抜歯することになりました
麻酔後に5分程度で抜歯が完了しました
抜歯した親知らず
痛み止めと抗菌薬を処方しました。
抜歯後に20分程度、丸めたガーゼを噛んでいただき、止血をしていただきました。
術後、思ったより痛くなかったとのこと。
斜めに生えた親知らずで、よく歯茎が腫れて痛むとのこと。相談の結果、抜歯となりました。
今回の症例の場合、切開せずに、歯を分割して抜歯することにしました。
歯を削って頭の部分を半分にします。
10分程度で抜歯が完了
分割してバラバラになった親知らず
ほとんどの部分が埋まっていて少し顔を出しています。うまく磨けず、物がよく詰まる、隣にある歯が虫歯になってしまい抜歯となりました。
歯肉を切開し親知らずを明示します。
親知らずを分割します。
分割し抜歯した親知らずの歯根
30分程度で抜歯が完了しました。
この後、縫合し終了しました。
できる場合とできない場合がございます。
まず初診、来院時に診査をさせていただき、できる場合はその日で抜歯させていただきますが、そうでない場合は今後のスケジュールについてご説明させていただきます。
1ヶ月程度で歯茎は修復され穴は塞がります。その後2〜3ヶ月かけて骨が修復され、治癒します。
歯を抜いた後は冷やしたほうが良いのか?
抜歯直後2〜3日は痛みを抑えるために冷やすことが有効です。しかし、その後は逆効果です。治癒が遅くなります。
腫れる場合があります。上顎で切開を伴わない場合はほとんど腫れません。下顎で斜めに生えている場合や埋まっている場合は腫れる可能性があります。
上下左右4本同時抜歯も一応は可能です。ただ、噛む場所が無くなると不便ですので、左右で分けたり1箇所ずつ抜歯する場合が多いです。
抜歯後にうがいをし過ぎてしまうと、ドライソケットという状態になる場合があります。これは抜歯した孔に形成されたゼリー状になった血液が取れてしまい細菌感染を起こした場合に生じます。強い痛みがあるのが特徴です。抜歯後1週間くらいはうがいは優しく行いましょう。
管理されていない全身疾患があったり、親知らずが神経を巻き込んでいる場合などは大学病院や大きい病院に紹介させていただいております。